心房細動に対する外科治療

不整脈の代表的な疾患に心房細動があります。
心房細動は、心房から発生する電気が心臓収縮に関係なくバラバラに発生する不整脈で、動悸・息切れの原因となります。

心房細動は、高血圧、心臓弁膜症、心筋症など心臓に負担がかかった状態から引き起こされる病気で、加齢・ストレス・食生活も心房細動の原因に関与します。心房細動が直接の致命傷になることはございませんが、放置していると心不全の原因となり、日常生活に支障を来す慢性疾患です。またバラバラの心房収縮のため心房内の血流が淀み、血栓が形成されます。その血栓が突然、遊離すると重篤な脳梗塞(心原性脳塞栓症)を発症する恐ろしい合併症を来します。超高齢社会において心房細動の管理は重要な課題であり、心臓外科として治療の一角に携わっています。

左心耳血栓の1例

動悸、息切れで外来受診。頻脈性心房細動(脈拍130/分)で中等度の心不全状態で緊急入院。経食道心エコーで、左心耳内に直径1.5cm程度の浮遊した球状血栓が指摘され、準緊急で血栓摘出術を行い、脳梗塞の発症を予防しました。再発予防に左心耳を切除して、簡易不整脈手術を同時に行い、術後3ヶ月後に抗凝固剤の内服を中止しました。

外科治療として2つご紹介します。1つ目は心原性脳塞栓予防に左心耳を閉鎖する手術です。左房血栓の90%以上は、左心耳に発生します。心房細動ために淀んだ血液が、耳の様に出っ張った部位で高率に血栓形成するためです。その左心耳をクリップで閉鎖する道具が近年開発され(下図)、容易に同時手術が可能となりました。

外科治療の2つ目は、不整脈自体を治す手術です。バラバラに発生する電気刺激を整列すべく、電気回路を規制(遮断)する手術で、Maze(メイズ)(日本語で迷路)手術と言われるものです。電気回路を遮断する部位は下図のように標準Maze法や低侵襲な簡易方法(肺静脈隔離術)があり、病態に合わせて治療方法を選択しています。左心房を高周波で簡便に焼灼する器具が開発され負担の少ない外科治療が可能となっています。